モビリティの進化が未来を変える

次世代モビリティ、2030年国内販売台数は10万2700台と予測…矢野経済研究所

矢野経済研究所は、次世代モビリティ市場に関する調査を実施。2030年の国内販売台数を10万2700台と予測した。

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トヨタ C+pod(参考画像)
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  • 次世代モビリティの国内販売台数予測
矢野経済研究所は、次世代モビリティ市場に関する調査を実施。2030年の国内販売台数を10万2700台と予測した。

交通渋滞や物流課題、公共交通空白地域の解消といった諸問題にて、小型で小回りが利く次世代モビリティの果たせる役割は大きい。一方で、軽自動車やオートバイなど既存のモビリティに対して、コストや商品性で十分な優位性を示せていない次世代モビリティには乗り越えなくてはならない課題も山積している。

日本では、軽自動車の一種の区分として2020年より販売が開始された「超小型モビリティ」を中心に市場の拡大が見込める。欧州では、これまで年間販売数4~5万台のニッチ市場だった四輪マイクロカー市場にセアトやシトロエンが相次いで参入。ルノーも新モデルを発表するなど市場に熱い視線が注がれている。一方、これまで好調だった中国のLSEV(低速電動車)は、増加する重大事故を理由に安全基準が強化され、企業の新規参入も大幅に制限。さらに「宏光MINI」に代表される微型EV(A00セグメント)の市場急拡大でこれまでと市場環境が一変している。

現状の次世代モビリティは「機能は二輪車に近いが、価格は軽自動車並み」という車両であり、独自のメリットも少ないことから普及に向けた課題が多い。トライクやミニカーは、税制面などでランニングコスト低減に繋がる一定のメリットがあるが、軽自動車の枠組みである超小型モビリティではその効果が薄い。

税金や車検はランニングコスト低減にて重要な要素となる。超小型モビリティの自動車税は、少なくともミニカーと軽自動車の中間程度に落ち着かなければユーザへ「お得感」は与えられないが、実際は軽自動車と同じ金額となった。車検についても軽自動車と同等とみられ、ミニカーの優位性を際立たせる結果となっている。車庫証明については、軽自動車の区分となることから必要となるが、専有面積で考慮すると同等サイズであるミニカーには不要で、超小型モビリティには必要となるのは違和感がある。

自動車保険では、排気量125cc以下、あるいはモータ定格出力1.0kW以下のピンクのナンバープレートを装着した車両は第二種原動機付自転車と指定され、ファミリーバイク特約が適合される。現状では50ccのミニカーは対象となっているが、超小型モビリティはその範囲にない。基準緩和などによって超小型モビリティが特約の対象となれば、ユーザの購入意欲も増すだろう。

また、次世代モビリティの特徴である「小型」であることは、路上駐車で強みを発揮することが期待されるが、フリーフロート型カーシェアでは、路上駐車の緩和以外に、一般道路の両端部分を駐車帯にするなどのスペースの構築が必要なほか、ステーションがないことによる車両の分散を考えた際に、利用可能な車両をすぐに提供できるだけの豊富な車両台数なども条件として必要となる。これらの条件を考慮すると、本当にラストワンマイル(1.6km)の近距離移動であれば電動キックボードのようなマイクロモビリティで必要十分となる可能性は高い。

次世代モビリティはそのコンセプトから、既存のモビリティに対してハード面で優位性を出すものではなく、各種社会課題への解決ツール、最低限の使用用途を満たした上での経済性の確立という軸で評価しなければならない。個人向けではユーザーがそこを理解し、低価格化が実現するためには一定の期間を要するものと考えられる。

一方、近年加熱するカーボンニュートラルの推進などから、国庫補助金等の公的資金を財源に政府や自治体の公用車、CSR実現のための営業車や配送車など業務用途でまずは市場を獲得していくのが、2030年までの成長シナリオになる見通しだ。次世代モビリティ各々の現状と成長シナリオを予測し、主な競合となる軽乗用、軽貨物車両に対してどの程度の市場を奪えるかという基準で、次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ)の国内販売台数は2030年には強気の予測で10万2700台、保守的な予測で3万1030台になるとしている。
《纐纈敏也@DAYS》

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