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【展望 2022年】日本市場に空前のEV投入…コロナ禍と半導体不足の挟撃続く

迎える2022年の自動車産業は、感染拡大の脅威が終わらない3年目のコロナ禍、そして需給ひっ迫が長期化している半導体という2つの“外乱”に、依然として生産・販売活動が大きく左右される年となる。

ビジネス 自動車産業
日産 アリア
  • 日産 アリア
  • 日産 IMk(東京モーターショー2019)。量産に向けて開発中。
  • トヨタ bZ4X
  • スバル・ソルテラ
  • ホンダ e:NS1
  • ホンダ e:NP1
  • BEV戦略を発表するトヨタ自動車の豊田章男社長(12月14日)
  • マツダCO-PILOT CONCEPT(居眠り、姿勢崩れの検知)

◆各社のミッドサイズSUVが激突

迎える2022年の自動車産業は、感染拡大の脅威が終わらない3年目のコロナ禍、そして需給ひっ迫が長期化している半導体という2つの“外乱”に、依然として生産・販売活動が大きく左右される年となる。

そうしたなかでも日本各社の「環境」と「安全」という産業課題へのアプローチは着実に進み、とりわけ電気自動車(EV)の本格的な商品展開は、2050年のカーボンニュートラル(脱炭素)実現に向け、大きな1歩を踏み出す年と位置付けられる。とくに22年の日本市場へのEV投入は、かつてないスケールとなる。10年に『リーフ』で量産EVの時代を拓いてきた日産自動車は、年初から新モデル『アリア』の販売を始める。同社と三菱自動車工業は軽自動車のEVも共同開発しており、22年度の早期に登場させる計画だ。

共同開発ではトヨタ自動車とSUBARU(スバル)も、その第1弾となるSUVモデルを22年半ばから日本や海外市場に順次展開していく。トヨタは『bZ4X』、スバルは『ソルテラ』だが、これらは日産のアリアとともにグローバルで売れ筋のミッドサイズSUVのEVであり、内外市場でどのモデルが支持を獲得するのか、今後のEV展開の試金石ともなっていく。

◆EVで最大80万円の補助金がスタート

国内への投入時期は明示していないが、ホンダは中国では初となるホンダブランドのEV2車種を22年春に発売する。これもSUVタイプであり、現地合弁の東風本田から『e:NS1』、広汽本田からは『e:NP1』の名称で売り出し、中国からグローバル市場への輸出も検討する方針だ。中国製となるかはともかく、同等クラスのEVは、『ホンダe』に続く日本市場への第2弾として、早晩導入されることになろう。

ただ、高性能なハイブリッド車(HV)が支持されている日本では、EVの急ピッチの販売増は依然として難しい。政府はそうした状況を打破し、脱炭素を加速していく狙いから、22年度予算でEVなどへの新車補助金を一気に拡充させる。EVでは外部への給電機能があるなどの条件を満たすモデルで最大80万円と、従来比で倍増となる。こうした補助金拡充策は、21年度補正予算にも盛り込まれており、22年度を待たずともすでに適用されている。

一方で、自動車各社によるEVを中心としたグローバルでの電動化戦略も、幾度となく見直されることになろう。欧州各社によるバッテリー工場の急ピッチの新設計画や、中国での新エネルギー車の普及など、EVを取り巻く環境は刻々と、しかも激しく変化するからだ。トヨタは昨年12月、30年に世界で350万台の販売を目指す新たなEVの事業目標を公表した。5月の時点で200万台(燃料電池車含む)としていたが、わずか7か月で抜本的なアップデートを迫られた。

◆安全運転支援も注目技術が登場

安全技術では、注目のシステムも相次いで登場する。マツダは、安全運転支援技術「CO-PILOT CONCEPT(コ・パイロットコンセプト)」を、22年に発売する新モデル3車種に「CO-PILOT 1.0」として導入する。CO-PILOTは「副操縦士」を意味しており、急病や居眠りなどドライバーの異常を検知すると自動運転で車両を停止させるなど、支援システムが常時そばでドライバーを見守るように技術構築している。マツダが重視するドライバー自身の「走る歓び」のため、より進化させた安全と安心を付加していく。

ホンダは、車両周辺のすべての死角をカバーできるようにした全方位安全運転支援システム「ホンダセンシング360(サンロクマル)」を、22年に実用化する。最初の投入市場は中国となるが、30年までには日本や北米なども含む先進諸国で販売する全モデルに採用していく。同社が掲げる2050年にホンダ車(二輪車含む)が関与する交通事故での死者ゼロという目標に向けての、新たなアプローチが始動する。

◆国内新車販売、500万台回復は厳しい展開に

一方、自動車産業の活力の源となる新車市場はどうなるか? コロナ禍と半導体不足に挟撃され、22年も不透明な情勢が続く。21年の国内新車市場は、前半の1~6月はいずれも前年同月を上回ったものの、逆に7月からは前年同月に届かないまま終わった。

半導体不足に加え、夏場からはコロナ禍による東南アジア諸国からの部品調達に大きな影響が出たことによる。こうした結果、21年の販売台数は前年比3%減の445万台前後となった模様だ(筆者推計)。3年連続で前年実績を下回り、500万台という国内市場の堅調さのバロメータラインにも2年連続で届かなかった。

22年も不安定な動きが避けられない。半導体については一部の企業で年明けから調達が回復するという動きがある。ただ、「22年度も計画に対して100%の供給が受けられるとは考えていない」(スズキの鈴木俊宏社長)と、ひっ迫は長期化するとの観測もある。22年の新車市場が500万台ラインに復元するのは、相当厳しい情勢となっている。

《池原照雄》