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大型トラックのハンドルを指一本で動かす:UDアクティブステアリング…ジャパントラックショー2022

トラックメーカーとしてブースを構えるUDトラックス株式会社は、『UDアクティブステアリング』と名付けられた新機軸のステアリング技術搭載車を展示していた。

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UDトラックス(ジャパントラックショー2022)
  • UDトラックス(ジャパントラックショー2022)
  • ブース内のステージでは開発責任者のひとりである越川氏が『UDアクティブステアリング』について解説していた。
  • ステアリング制御はドライバーの疲労軽減につながり、結果的に安全な走行が可能になる。
  • 低速走行時には、本当に指一本でステアリング操作が可能とのこと。
  • 2022年3月の販売台数のうち、UDアクティブステアリング搭載率は半数を超えた。
  • クオンGKはホイールベースが3200mmのためUDアクティブステアリングを搭載可能。
  • UDアクティブステアリング搭載車といえど、ステアリングの見た目は一般的なものと差違はない。
  • トラックといえば、MT車というイメージだが、ESCOT-VIによる正確で迅速なオートマチックギアチェンジシステムにより、ドライバーの負担が軽減される。

2022年5月12~14日にパシフィコ横浜で開催中の『ジャパントラックショー2022』。トラック関連業界としては日本最大の展示会ということもあり、143社が参加し過去最大規模の展示会となった。

トラックメーカーとしてブースを構えるUDトラックスは、『UDアクティブステアリング』と名付けられた新機軸のステアリング技術搭載車を展示していた。

このUDアクティブステアリングは、油圧式ステアリングギアに電気モーターを取り付け、ハンドリングの支援を行う機能。電気モーターには、1秒間に約2000回の頻度で様々なセンサーから運転環境を感知する電子制御ユニット(ECU)が接続され、走行方向やドライバーの意図を判断し、あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作をサポートする。後退・右左折・旋回などの低速走行時には取り回しが軽くできるように制御され、走行速度が上がると、速度に乗じてステアリングを重くして安定感を得られるように制御される。またトラックならではの積み荷の量や横風、路面状況などにも左右されない安定したステアリングを実現し、ドライバーの疲労軽減と安全にも一役買っている。

◆1週間ほど運転すると、元のステアリングには戻れない

展示会場に開発部門の開発責任者のひとりである越川英幸氏がいたので話を聞いた。UDトラックスは、クルマにとっての大事な要素である『走る・曲がる・止まる』という基本動作について常々考えてきたとのこと。走りについては、『ESCOT-VI』による電子制御式トランスミッションによって、シフトチェンジのストレスから解消され、止まるに関しては、ディスクブレーキによって大きな制動力を実現した。そして曲がるという部分について、なにか技術的進化を生み出せないかという考えから開発がスタートした。

じつはステアリングの支援システムについては、ボルボの大型トラックに同じようなシステムがあった。UDトラックスはかつてボルボグループだったため、この技術を参考に開発が進められたという。越川氏によると、ボルボのステアリング支援システムを参考に出来るとはいえ、そのまま日本のトラックに採用すると、ステアリングが軽すぎて日本のドライバーは違和感を受けるそうだ。そのため日本のドライバーが納得出来るステアリング感覚を得るために、テストコースでの実験、一般道、高速道路などでの実走テストというサイクルを、数え切れないほど行ない、現在のステアリング感覚を導き出した。

日本のドライバーに合わせたとはいえ、UDアクティブステアリングのステアリング感覚は、従来のものと大幅に異なるため、やはり最初はかなり違和感があるという。しかし1週間ほど運転すると、「元のステアリングには戻れない」との声を多数いただいた、と完成度に自信を覗かせた。

現在、UDアクティブステアリングを搭載可能なモデルは、フラッグシップ大型トラック『クオン』CG後軸エアサスのホイールベース7520mm車と、同GKのホイールベース3200mm車にオプション設定となっている。UDアクティブステアリングは、ホイールベースが変わると制御システムを変更しなければならないため、現在ほかのモデルにも搭載出来るようにテストを繰り返しているとのこと。正式なリリース予定日はまだ決まっていないが、近いうちにリリースしたいといった期待出来る返答が越川氏からあった。

ブース内には『ベルトインシート』と呼ばれる新しいシートも展示。このシートは、シートベルトがシート本体に組み込まれているのが特徴。シートベルトがシートサスペンションの動きに追従することで、走行中の圧迫感を軽減し、ドライバーの体格や好みにきめ細かく対応できる調整機構を搭載。シートベルトのズレなどを軽減することで、長距離運行でも快適な乗り心地が得られ運転疲労が軽減する。フルキャブ車にオプション設定で搭載が可能になっている。

《関口敬文》

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